ハイトゲージの構造や測定方法を解説

ハイトゲージ(Height Gauge)とは、ワーク(工作物)の高さを精密に測定することに特化した測定器具です。ワークとハイトゲージを定盤とよばれる平面の基準となる水平な台に置き、計測を行います。また後述のように、定盤を基準とした正確な罫書き(ワークの表面に傷を付けることで、加工や計測時の目安となる線を入れること)を行うことにも使われます。製造や品質保証の現場で広く使われている、基本的な測定器具のひとつです。

引用元:ミツトヨ

ハイトゲージの構造

ハイトゲージの構造はイラストの通りです。ハイトゲージには主に高さの表示方法によって様々な種類があります。もっとも基本的なものは標準ハイトゲージとよばれる種類で、ノギスのようなバーニア(副尺)目盛の入った柱をもったものです。0.02mmまたは0.05mm単位での数値を読むことができます。

これは構造がシンプルである一方で細かな目盛を目視で読む必要があり、使用に多少の慣れが必要であると共に、見間違いによる計測ミスなどが起きがちです。この使い勝手を改善したものとして、デジタル式やダイアル式などがあります。目盛を目視で読む場面が減り数値として表示されるため、より簡単に間違いなく計測を行うことができます。

イラストはダイアル式について解説していますが、基本的な構造はどの種類でも共通です。高さの表示方法のほかにも、計測可能な範囲別に様々な大きさが用意されています。主に測定するワークの大きさから、それらを無理なくカバーできるラインナップを用意しておきます。

ハイトゲージの使用方法

次にハイトゲージの使い方を見てみましょう。まずハイトゲージと測定を行うワークを定盤に乗せます。平面度が保証された定盤の上で扱うことが正確な測定をする上での前提となります。

そして定盤にスクライバをゆっくりと下げて密着させ、ゼロ点を合わせます。その後ワークの測定したい面にスクライバの底面をやさしく当て、目盛に対して真正面から高さを読みます。この際ハイトゲージのベースやスクライバ、ワークの底面などにゴミや汚れがなくきれいな状態であることに注意します。

また、スクライバを強く当てたり、無理な力をかけると正確な測定ができないだけではなく、スクライバの損傷やハイトゲージのゆがみにつながりますのでやさしく取り扱うことが大切です。環境温度も測定結果に影響を与えます。正確な測定には一定の温度環境下での使用が望ましいですが、努めてゼロ点が合っていることを確認することが必要です。

さらにハイトゲージにはゼロ点調整や微動のために多くの固定ねじが使われています。これらも緩んだりしていると計測結果のずれの原因になりますので、使用前や使用途中でも定期的にしっかりと締め付けられていることを確認します。

ハイトゲージは高さを測るだけではなく、水平な罫書き線を引くことにも使われます。トースカンという道具を知っているでしょうか。こちらは底面を基準として、これに平行な一定の高さのケガキを行う道具です。

しかしトースカンには高さを測定する機能はなく、あくまで一度決めた高さを複数の箇所やワークに再現する罫書き道具です。このためハイトゲージは、トースカンに正確な高さを規定する機能をもたせたものとも言えます。スクライバの先端は鋭く、また焼入れもされているため罫書き針として使うことができます。罫書きを行う際は、特に作業中スライダーが動かないよう固定ねじがしっかり締まっていることに注意が必要です。

さらにスクライバは取外し可能となっているため、この代わりにダイアルゲージやピックゲージを取り付けることもできます。例えば、ワークの測定面にダイアルゲージを当て、これを全面に渡ってスライドさせれば測定面のゆがみや簡易的に平面度計測を行うことができます。

ハイトゲージはノギスやマイクロメータなどと並んで、基本的な測定器具のひとつというだけでなく、罫書き作業や形状測定など様々な場面への応用ができる便利な道具です。その特徴を正しく理解し、活用していただければと思います。